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拡大版コーポレート・ガバナンス研究会
平成27年度第3回 拡大版コーポレートガバナンス研究会
『日本における資産運用業の現状と将来の展望―DIAMの戦略−』
開催日:
平成27年9月9日(水)
ゲストスピーカー:
西 惠正様 DIAMアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
研究会メンバー:
池尾 和人(慶應義塾大学経済学部 教授) 座長
上村 達男(早稲田大学法学部 教授)
柳川 範之(東京大学大学院経済研究科・経済学部 教授)
鹿毛 雄二(ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社 特別顧問)
岩間 陽一郎(一般社団法人 日本投資顧問業協会 会長)
オブザーバー:
山田 俊浩(明治安田アセットマネジメント株式会社 コンプライアンス・オフィサー 兼コンプライアンス・リスク管理部長)
長尾 和彦(一般社団法人 日本投資顧問業協会 副会長専務理事)
平成27年度の拡大版コーポレートガバナンス研究会は「競争力の強い資産運用会社を目指す経営戦略」をテーマとし、第3回の研究会には、DIAMアセットマネジメント株式会社代表取締役社長の西惠正様にゲスト・スピーカーとしておいで頂き、日本の資産運用市場の現状分析と将来の可能性についてのお話、それらを踏まえたうえでのDIAMアセットマネジメント株式会社での取り組み状況及び戦略などについてご説明頂きました。その後、参加メンバーによる自由討論が行われました。西様のお話の概要は、以下の通りです。
■ アベノミクスのフォローの風もあり、今後投信市場に牽引される形で日本の運用市場はどんどん拡大していくという方向にあると思っておりますが、運用会社には運用力とマーケティング力が今後も求められると思います。公募投信では我々は主に販社さんによって投資家に商品提供をしているわけなのですが、今後どういうマーケティングをして投資家にアクセスしていくか。その1つとしてロボ・アドバイザーとかIFAを考えているわけなのですが、こういったマーケティング力。それともう1つは、パフォーマンスを含めて他にはない商品を作れるといった運用力。やっぱり個人の方も徐々にレベルが上がってきますので、それに応じた商品をクオンツなりいろいろなノウハウを使って提供していかなければいけないと思っており、運用力をどうやって強化していくかというのが大きなポイントになってくると思います。
■ 我々は運用にこだわった会社ですので、クオンツといった金融工学的なリソースを社内に相当持っていて、更にグループ会社にも金融工学に特化したファイナンシャル・テクノロジー社というのがありますので、こことキャッチボールしながらいろいろな商品を作っています。今、我々の足元でやっていること、並びにこれが成長していくだろうと思っているのは、ここに書いてあるクオンツアクティブ運用、要するにクオンツの数量的なモデルにプラス、ジャッジメントを入れるという、銀行のポートなんかでもずっとやってきたことなのですけれども、クオンツだけに頼ると収益性が弱くなってくるので、そこにジャッジメントを入れるものです。ジャッジメントの入れ方もクオンツ的にやることもあります。
■ 人材育成の難しいところというのは、専門性が高い優秀な人をつくっていかないといけないのですが、その一方向だと、たこつぼにはまったような状態になってしまうこともあり得ます。今みたいな市場環境ではJGBでも為替でも横の連関というのが必要になって、その多様性を持たないとクオンツジャッジメンタルとか、そういうようなことができないのですね。ですから、専門性だけでなく多様性をどうやって求めていくかというのが大事になっているかと思います。
活発な意見交換により、「資産運用会社の経営戦略等」に関わる議論について理解、認識を深められる興味深い内容になっております。是非ご一読ください。