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拡大版コーポレート・ガバナンス研究会
平成27年度第1回 拡大版コーポレートガバナンス研究会
「資産運用業の社会的使命とSMAMの事業戦略」
開催日:
平成27年4月7日(火)
ゲストスピーカー:
横山 邦男様 三井住友アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長兼CEO
研究会メンバー:
池尾 和人(慶應義塾大学経済学部 教授) 座長
上村 達男(早稲田大学法学部 教授)
柳川 範之(東京大学大学院経済研究科・経済学部 教授)
鹿毛 雄二(ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社 特別顧問)
松尾 直彦(西村あさひ法律事務所 弁護士)
岩間 陽一郎(一般社団法人 日本投資顧問業協会 会長)
オブザーバー:
山田 俊浩(明治安田アセットマネジメント株式会社 コンプライアンス・オフィサー 兼コンプライアンス・リスク管理部長)
長尾 和彦(一般社団法人 日本投資顧問業協会 副会長専務理事)
平成27年度の拡大版コーポレートガバナンス研究会は「競争力の強い資産運用会社を目指す経営戦略」をテーマとし、第1回の研究会には、三井住友アセットマネジメント株式会社代表取締役社長兼CEOの横山邦男様にゲスト・スピーカーとしておいで頂き、資産運用会社の現役経営者の立場から、資産運用業の社会的使命、資産運用業界の課題、経営戦略、フィデューシャリー・デューティー等についてお話頂きました。その後、参加メンバーによる自由討論が行われました。横山様のお話の概要は、以下の通りです。
■普遍的使命ということを申し上げたいと思いますけれども、私は日頃から、銀行時代から、社会的使命の全うなくして成長なしと言っておるのでございますけれども、では、私共のアセットマネジメント業においてはどういうものが使命かというと、やはり投資家の皆様の保有資産の着実かつ安定的な成長(資産形成)と、経済の成長に結びつくリスクマネー(成長マネー)を適切に供給して、産業の発展と企業の持続的成長に貢献することだと認識しております。私共の業界が社会的使命を果たしまして、そして、その果実が広く享受されるということになれば、さらなる投資が生み出されることになりまして、それが経済の活力向上、国富の増強につながるとともに、我々に返ってくる、資産運用会社への信頼と成長につながるということだと思います。
■ 我々の時代と比べて、銀行もそうですけれども、財務分析、バランスシートを分析する力だとか、P/Lをどう見るかだとか、月次決算をどう分析するかというのは、ITの力もあって非常に能力が長けてきたところはありますが、機械の力、そこの裏に潜むものを探すところがやはり人間の知恵で、でも、それ以上に、経営者とどういう成長戦略の話ができるのかというところが基本でありまして、わが社においては、業界の中では非常に多い、22名のアナリストを抱えておりますけれども、では、彼らが本当にそれをできているか。お金がふんだんにある、それをどうするのだ。私がアナリスト達に言っているのは、株主還元ということをまず言うなと。株主還元というのは後だぞ。その会社に成長戦略があるかどうかだぞ。成長戦略があって、それを実行して、初めて安定的な株主還元ができてくる。過度に足りないのだったら株主還元はやらなければいけないけれども、まず成長性の話をしようよということでございます。
■フィデューシャリー・デューティーというものをつらつら考えました場合に、企業の存立というのはやはり社会とのかかわりが大前提でありまして、社会から信頼され、そして社会的使命を意識する。これは冒頭申し上げたことでございますけれども、そういう中で資産運用業とはいかにあるべきかということだと思います。それは投資のプロとしての専門性を発揮し、そして、投資家の利益の最大化を目指すということに尽きるわけであります。
活発な意見交換により、「資産運用会社の経営戦略等」に関わる議論について理解、認識を深められる興味深い内容になっております。是非ご一読ください。