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コーポレート・ガバナンス研究会

コーポレート・ガバナンス研究会

第7回 コーポレート・ガバナンス研究会
「英国スチュワードシップ・コード」について

開催日:

平成25年7月31日(水)

研究会メンバー:

池尾 和人(慶應義塾大学経済学部 教授) 座長
上村 達男(早稲田大学法学部 教授)
柳川 範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
鹿毛 雄二(ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社 特別顧問)
松尾 直彦(西村あさひ法律事務所 弁護士)
岩間 陽一郎(一般社団法人 日本投資顧問業協会 会長)

オブザーバー:

山田 俊浩(明治安田アセットマネジメント株式会社 コンプライアンス・リスク管理部長)
長尾 和彦(一般社団法人 日本投資顧問業協会 副会長専務理事)

第7回のコーポレート・ガバナンス研究会では、協会事務局より、「英国スチュワードシップ・コード」について、英国出張報告があり、その後、参加メンバーによる自由討論が行われました。
「英国スチュワードシップ・コードに関する背景・内容、また投資家による現状認識や問題意識、さらに日本への導入を考える際の課題等について」、投資家、経営者、学識者それぞれの立場から活発な議論が行われました。

■ パブリックペンション、日本で言えばGPIFです。GPIFは一切エンゲージメントについて言わないという方針になっているので、ここが私としては非常に問題があると思っているのです。結局、現実はペンショナーが株主であるわけです。言ってみれば、GPIFのお金はそっちに回るわけですから。そういう感覚であるのがイギリスだと思います。逆に言うと、パブリックであるから、なおさらそういうことを言わなければいけない。要するに、コーポレートペンションはいろいろあちこち考えなければいけないことがあって、逆にリレーショナルで、ちょっとエンゲージし難いところが出てくる可能性がある。むしろパブリックのほうがそういうことをやらなければいけないという発想だと思います。(岩間会長)
■ 運用会社は、議決権行使だけではなくて、より能動的な行動を求められる可能性があって、日本では得てして、経済界、発行会社のほうが伝統的に強くて、昔よりも運用会社、機関投資家は強くなっているとは思うのですけれども、やはり発行会社側が力を持っているように思います。公的GPIFがそういう行動をすることについては、非常にしにくい環境にあるわけです。ですから、民間でやる意義があります。しかし、民間でもし本当にやると、これはかなりあつれきを生む可能性があります。昔で言う、実は村上ファンドがまさにこういうファンドだったのではないかという説があるぐらいで、そうすると、日本では嫌われるので、相当の覚悟が必要ではないかと思います。(松尾氏)
■ スチュワードシップというコンセプトにそもそも、いわゆるスチュワードと主人、要するに、イギリスの階級社会の絶対的な上下関係があるわけです。その絶対的上下関係みたいなものというのは、日本では現在は全く存在しない。だから、日本版とあえて書いてあるのは、そこでスチュワードという言葉を使ってしまったら上下関係になりますから、せいぜいエージェントコードみたいな、ある意味で言えば、受託者責任的なものをもう少し発展できないかと置きかえるのが現実的でしょう。もう1つは、やっぱりコストですね。コストと目的なのです。市場インフラとしてそれが長期的にワークするために、税金のように金を払ってでもやらなければいけないという性格なものとして位置づけていくのか、運用のリターンを高めるためのツールとして、その限りにおいてやっていくのか。目的をどういうふうに設定するか、目的に合わせてコスト負担をどうするかというところを整理しないと、業界にとってはプラスよりマイナスのほうが大きくなりかねないという感じはいたします。(鹿毛氏)

活発な意見交換により、「英国スチュワードシップ・コード」に関わる議論について理解、認識を深められる興味深い内容になっております。是非ご一読ください。

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