一般社団法人 日本投資顧問業協会

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コーポレート・ガバナンス研究会

拡大版コーポレート・ガバナンス研究会

第2回 拡大版コーポレート・ガバナンス研究会
「コーポレート ガヴァナンスについて」


開催日:

平成26年9月9日(火)

ゲストメンバー:

隅 修三様 東京海上ホールディングス株式会社 取締役会長

研究会メンバー:

池尾 和人(慶應義塾大学経済学部 教授) 座長
鹿毛 雄二(ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社 特別顧問)
松尾 直彦(西村あさひ法律事務所 弁護士)
岩間 陽一郎(一般社団法人 日本投資顧問業協会 会長)

専門メンバー:

大場 昭義(東京海上アセットマネジメント株式会社 代表取締役社長)
森本 紀行(HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長)
矢部 伸弥(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社 常務取締役)
渡邊 国夫(野村アセットマネジメント株式会社 CEO兼執行役社長)

オブザーバー:

山田 俊浩(明治安田アセットマネジメント株式会社 コンプライアンス・オフィサー兼コンプライアンス・リスク管理部長)
長尾 和彦(一般社団法人 日本投資顧問業協会 副会長専務理事)


第2回の拡大版コーポレート・ガバナンス研究会では、東京海上ホールディングス株式会社の取締役会長で、日本IR協議会の会長でもある隅修三様にゲスト・スピーカーとしておいで頂き、企業経営者の立場から、コーポレート・ガヴァナンスを議論する前提、日本型のガヴァナンスに対する見方、コーポレート・ガヴァナンス・コード導入に関する見解、実際に経営者として行ってきたガヴァナンスについてお話頂きました。その後、参加メンバーによる自由討論が行われました。隅様のお話の概要は、以下の通りです。

■ コーポレート・ガヴァナンスの定義について、とやかく今さら言う必要もないと思いますけれども、コーポレート・ガヴァナンスの議論に入るときに、そもそも経営者というのは何のために、何に重点を置いて経営に努めているのか、あるいは努めるべきなのかという点について、それぞれ議論をする人がどのように思っているのかというスタンスをある程度はっきりさせて論議に入ったほうがいいのではないかと思います。企業というものは、ステークホルダー、いわゆる顧客だとか、従業員、社会、あるいは株主、こういった人達のために存在している。そのために持続的な企業価値向上に努める、これが企業の存在する意味だという、この定義に今異論を挟む人はいないのだろうと思います。(隅氏)
■ 日本型のガヴァナンスは透明性に欠け、外から解りにくい、こういう評価があるわけです。今申し上げたとおり、外部から解りにくいというのは事実だと思います。ただ、社外取締役を入れたら透明性が高まって解りやすくなるのかというと、そんな簡単なことだけでもない。ただ、牽制機能が高まったというふうに外から見られるのは、非常に良いことだと思います。解りにくさという意味においては、言葉の壁もありますし、会計制度の違いなどもその一因ではないかと思います。いずれにいたしましても、経営者というのは企業経営の透明性を高め、そして説明責任、アカウンタビリティーを果たすことに常に意識して取り組む必要がある、このように私は思っています。(隅氏)
■ 経営理念ということに絡んで、「私たちが大切にするもの」というものを、私は社員に投げかけているのです。経営者一人がこれを理解していればいいというものではなくて、我々は一体何を大切にしている会社で働いているのかということを、社員に強制するわけではなく一緒に考えようという形で、29ページの右、ステークホルダーに対してどういうスタンスで向き合うのか、私はこう考えている、という事を伝えながらやってきたわけですけれども、こういった事をぶつけて論議をしていく最中に東日本大震災が起きました。結果、社員たちが、こういうものがいかに大切かということを実感してくれておりまして、そういう意味ではこういうものが相当社員に浸透している企業になってきたかな。これに行き着いたのも、実はジョンソン・エンド・ジョンソンのOur Credoであり、非常に近いスタンスになりました。別に真似たわけではなくて、いろいろ考えたら近くなったということでございます。(隅氏)

活発な意見交換により、「コーポレート・ガヴァナンスに関する課題等」に関わる議論について理解、認識を深められる興味深い内容になっております。是非ご一読ください。

第1回 拡大版コーポレート・ガバナンス研究会
「資産運用業界に関する課題等」について


(左から、鹿毛氏、大場氏)

開催日:

平成26年1月29日(水)

研究会メンバー:

池尾 和人(慶應義塾大学経済学部 教授) 座長
上村 達男(早稲田大学法学部 教授)
柳川 範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
鹿毛 雄二(ブラックストーン・グループ・ジャパン株式会社 特別顧問)
松尾 直彦(西村あさひ法律事務所 弁護士)
岩間 陽一郎(一般社団法人 日本投資顧問業協会 会長)

専門メンバー:

猪股伸晃(JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社 代表取締役社長)
岩崎俊博(野村アセットマネジメント株式会社 CEO兼執行役会長兼社長)
大場昭義(東京海上アセットマネジメント投信株式会社 代表取締役社長)
森本紀行(HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長)

オブザーバー:

山田 俊浩(明治安田アセットマネジメント株式会社 コンプライアンス・リスク管理部長)
長尾 和彦(一般社団法人 日本投資顧問業協会 副会長専務理事)


第1回の拡大版コーポレート・ガバナンス研究会では、協会事務局より、「当研究会の目的及び専門メンバー」について説明、また、「資産運用業界に関する課題等」について専門メンバーからヒアリングした結果の報告があり、その後、参加メンバーによる自由討論が行われました。
「日本の資産運用業界を取り巻く環境や課題等、また公的・私的年金基金の制度やその運用に関する課題等について」、投資家、経営者、学識者それぞれの立場から活発な議論が行われました。

■ 運用業界発展の条件という観点では、本質的な問題として、日本株も日本債券も十分なリターンが上げられなかったこと。投資家から見れば、付加価値に対してフィーを払う事業であるはずなのに、日本の運用機関のコアビジネスである日本株と日本債券の運用が付加価値を提供できていなかった。一方、投資対象商品は日本株と日本債券だけではなく、外株もあれば外債もある。つまり、グローバルの投資家はそれなりのリターンを過去20年得ている。日本の投資家の責任ではあるが、フィデューシャリーとしての運用機関も、結果論としてはリターンを上げるべき投資政策を提案してこなければいけなかった。要するに、投資家サイドが、日本株・日本債券への強い志向を持ち、サプライサイドも日本株と日本債券中心の事業をしていたわけだから、運用の付加価値はあまり提供できなかった。(鹿毛氏)
■ 母国のマーケットが低迷すると、日本の運用会社は、海外のいいファンドをどうやって探すかというところに、すごく経営資源を割く。自分自身で運用すればとの意見もあるが、機関投資家である年金基金に対してプレゼンするときに、限られた経営資源を投下しているファンドと、投資先を母国として相応の経営資源を投下しているファンドを比べられると、定性的に太刀打ちできないと年金基金から評価されてしまう。(大場氏)
■ オーストラリアの場合は、基本的に確定給付を廃止してしまった。基本的には確定拠出ということで、これを官民挙げてプロモートしている。アメリカの場合、確定拠出が爆発的に増えたのは、株式市場が非常に好調になった時に、個人がそれに追随する形で増えた。したがって、日本でも、昨今のような状況になってくれば、確定拠出型年金制度の成長・発展の条件が整ってきたともいえる。しかし、現状は、制度的に拠出上限も含めて非常に小さくできているので、制度設計を将来を見据えて見直すことが重要な課題である。(鹿毛氏)

活発な意見交換により、「資産運用業界に関する課題等」に関わる議論について理解、認識を深められる興味深い内容になっております。是非ご一読ください。

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